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著者:VIXパンダ 更新日:2021年9月9日
日経平均のリスクヘッジ インバース型ETFとVIX指数CFDを比較
この記事の目次- 日経平均(日経225)とは
- 日経平均(日経225)過去10年のチャート
- 日経平均(日経225)のリスクヘッジ対象商品
- 現金でのリスクヘッジを検証
- 金でのリスクヘッジを検証
- オプション・先物でのリスクヘッジを検証
- 日経平均インバース型ETFでのリスクヘッジを検証
- VIX指数CFDでのリスクヘッジを検証
- 日経平均(日経225)のVIX指数リスクヘッジ メリット・デメリット
- 結論
1.日経平均(日経225)とは
日経平均は、東証1部に上場している約1700銘柄のうち、トヨタ自動車やNTT、キヤノンなどの代表的な225銘柄の平均株価のことをいいます。そのため、日経225とも呼ばれています。
日本株の外国人持ち株比率は30%前後で推移しているため、日経平均の株価は、日本の経済だけでなく、世界の経済にも影響されます。
世界経済の見通しが良くなれば日本株は上がり、逆に世界経済の見通しが不透明になると日本株は下がります。
2.日経平均(日経225)過去10年のチャート
日経平均の過去10年のチャートを見ることで、過去の値動きを調べました。
2021年1月時点の日経平均株価は28000円台で、10年前の10000円台から大きく上昇しました。
一方、日経平均の過去10年のチャートを詳しく見てみると、順調に右肩上がりではなく、2011年3月の東北大震災、2015年8月の中国発世界同時株安、2020年3月の新型コロナウィルスショックなど、下げ相場は多く存在します。
3.日経平均(日経225)のリスクヘッジ対象商品
日経平均の下げ相場のリスクヘッジとして、以下の商品を検証しました。
- 現金
- 金
- オプション・先物
- 日経平均インバース型ETF
- VIX指数CFD
4.現金でのリスクヘッジを検証
日経平均の他に現金を保有していれば、日経平均が暴落しても現金の価値は下がりません。
また、日経平均暴落時、日経平均と比較すれば、現金の価値が上がったという見方もできます。
ただし、実際に現金の価値がプラスになるわけではなく、日経平均のマイナスを埋めることはできません。
日経平均のマイナスを埋めることができない現金は、個人的にリスクヘッジとしてはどうかなと思います。
5.金でのリスクヘッジを検証
昔から「有事の金」とも言われるように、危機が生じた際にはリスクを回避するため、資金が流入する傾向があると認識されています。
では、日経平均が下落すると、金は本当に上昇するのか調べました。
下の表は、日経平均とインバース型ETFのチャートです。
2016年以降、どちらも右肩上がりで上昇していますが、より詳しく調べるために、年別の騰落率(リターン)を比較しました。
金 | 日経平均 | |
2016年 | +6.3% | +2.6% |
2017年 | +13.7% | +19.6% |
2018年 | -2.7% | -14.8% |
2019年 | +18.5% | +18.6% |
2020年 | +26.5% | +18.2% |
日経平均が下落した2018年は、金も下落しました。
逆に、日経平均が上昇した2016、2017、2019、2020年は金も上昇しました。
逆相関になっていません。
どちらかというと、金と日経平均の相関性は高いです。
これでは、金を日経平均のリスクヘッジとして利用できません。
6.オプション・先物でのリスクヘッジを検証
日経225オプションは、将来において、日経平均株価指数をあらかじめ定められた価格で「買うことができる権利」または「売ることができる権利」です。
先物は、日経平均の売りを保有できます。
ただし、オプション・先物に共通するデメリットとして、取引期限がある上に
- 権利購入にお金がかかる(オプション)
- 保有中に金利手数料を取られる(先物)
といった、デメリットがあります。
つまり、リスクヘッジのために、継続してお金を払い続ける必要があります。
このような商品はピンポイントで利用しなければならず、相場を読めない限り、利用するのが難しいです。
(まあ相場が読めるのなら、暴落前に日経平均を決済すればいいのですが・・・)
7.日経平均インバース型ETFでのリスクヘッジを検証
有名証券会社が、相場下落時のリスクヘッジとして、インバース型ETFを紹介されていましたので、本当にリスクヘッジとして有効か検証しました。
(証券会社のリスクヘッジ関連記事→相場下落時のリスクヘッジに効果的なETF)
日経平均と日経平均インバース・インデックス上場投信(1571)を2016年~2020年保有した場合を検証
下の表は、日経平均とインバース型ETFのチャートです。
日経平均は株価が上昇しているため、長期保有しても大丈夫ですが、インバース型ETFは逆に下落していて、長期保有には向きません。
そのため、インバース型ETFの購入・売却条件を以下のように設定します。
- インバース型ETF購入条件:日経平均が前月比+5%以上
- インバース型ETF売却条件:日経平均が前月比-5%以下
なお、最初は2016年1月にインバース型ETFと日経平均を購入し、日経平均はそのまま持ち続けます。
また、購入金額は下のように設定します。
- 日経平均:100万円
- インバース型ETF:20万円
すると、投資成績は以下のようになります。
購入時期 | 購入レート | 売却時期 | 売却レート | 投資損益 |
2016年1月 | 18819 | 2020年12月 | 26624 | +41万4740円 |
購入時期 | 購入レート | 売却時期 | 売却レート | 投資損益 |
2016年1月 | 2327 | 2016年2月 | 2423 | +8251円 |
2016年12月 | 2120 | 2018年3月 | 1702 | -3万9434円 |
2018年10月 | 1486 | 2018年11月 | 1635 | +2万54円 |
2019年2月 | 1681 | 2019年6月 | 1685 | +476円 |
2019年7月 | 1574 | 2020年3月 | 1585 | +1398円 |
2020年5月 | 1574 | 2020年12月 | 1135 | -5万5781円 (含み損) |
合計すると
- 日経平均:+41万4740円
- インバース型ETF:-6万5037円
- 合計:+34万9703円
リスクヘッジの目的で購入したインバース型ETFが、逆に足を引っ張ってしまいました。
このような投資結果になる1番の理由として
- 日経平均が上昇し続けると、インバース型ETFは下落し続ける
点が挙げられます。
日経平均の暴落時期を予測できないため、日経平均が上昇した段階でインバース型ETFを保有し始めなければいけません。
そのため、インバース型ETF保有後に株価が上昇し続けた後に暴落すると、インバース型ETFを売却しても損失を被ることがあります。
日経平均インバースのリスクヘッジを検証 結論
日経平均インバースをリスクヘッジに用いるのは難しい
(日経平均インバース型ETFを保有し続けた場合、価値が下がり続け、損失が発生する恐れがある。)
8.VIX指数CFDでのリスクヘッジを検証
まずは日経平均の過去10年のチャートに、VIX指数を追加したチャートを見てみます。
予想通り、日経平均が下がると、VIX指数が上昇しています。
特に2011年7月→8月、2015年8月→9月、2020年3月などの日経平均株価は大きく値下がりした局面では、VIX指数が大きく上がっています。
また、VIX指数が大きく上昇した後、平常時では10~20の間で落ち着いています。
そのため、平常時にVIX指数を購入し、VIX指数が上昇したら指値で売却することで、日経平均のリスクヘッジに活用できそうです。
下のVIX指数の売買ルールでトレードした場合、どのような損益になるか検証しました。
VIX指数の売買単位
- VIX指数×100
例)VIX指数19.5だと、19.5×100=1950ドル分(約20万円)のVIX指数を購入します。
VIX指数の購入条件
- ルール1:19.5に指値で購入
- ルール2:19.5に指値で購入後、15.5まで下がったら指値で追加購入
- ルール3:15.5に指値で購入後、13.0まで下がったら指値で追加購入
VIX指数の売却条件
- ルール1の売却条件:24.5で指値で売却
- ルール2の売却条件:19.5で指値で売却
- ルール3の売却条件:19.5で指値で売却
次に日経平均の売買条件です。
日経平均の売買単位
- 100万円分購入、全額売却
日経平均の購入条件
- 年始に購入
日経平均の売却条件
- 年末に売却
では、トレード成績の検証結果です。
日経平均売買損益 (リスクヘッジなし) |
VIX指数売買損益 (日本円換算) |
日経平均+VIX指数 売買損益 (リスクヘッジあり) |
|
2011年 | -17万4100円 | +1000ドル (+8万7717円) |
-8万6383円 |
2012年 | +24万400円 | +500ドル (+3万8440円) |
+27万8840円 |
2013年 | +52万2700円 | +1450ドル (+12万5686円) |
+64万8386円 |
2014年 | +7万3000円 | +2350ドル (+24万7314円) |
+32万314円 |
2015年 | +8万6200円 | +1800ドル (+21万5298円) |
+30万1498円 |
2016年 | +2万5500円 | +1400ドル (+16万8294円) |
+19万3794円 |
2017年 | +19万5600円 | - | +19万5600円 |
2018年 | -14万8200円 | +2400ドル (+26万5488円) |
+11万7288円 |
2019年 | +18万6400円 | +800ドル (+8万7840円) |
+27万4240円 |
2020年 | +18万2500円 | +1000ドル (+11万700円) |
+29万3200円 |
日経平均売買損益 (リスクヘッジなし) |
VIX指数売買損益 (日本円換算) |
日経平均+VIX指数 売買損益 (リスクヘッジあり) |
※日経平均の損益は、日経平均の10倍を1年間保有した場合の損益です
日経平均のリスクヘッジにVIX指数を活用することで、日経平均損益がマイナスだった2011年・2018年は、マイナスを小さくあるいはプラスになり、それ以外の年でもプラスを伸ばす結果になりました。
ただし、この投資法の注意点として、GMOクリック証券CFDでは、VIX指数を「買い」で保有していると、多くの場合でマイナスの価格調整額が発生してしまいます。
ですので、価格調整額が発生する前にVIX指数を売却し、発生後に買い戻すなどで回避することをおすすめします。
詳しくはこちらです→価格調整額を回避してVIX指数を保有する方法
9.日経平均(日経225)のVIX指数リスクヘッジ メリット・デメリット
メリット
- 日経平均の下落相場(2011年・2018年)に、リスクヘッジとして機能
- 日経平均の上昇相場でも、8回中7回でプラス運用
- VIX指数は指値で売買するため、取引画面をずっと見る必要がない
デメリット
- 売買回数が少なめ(2017年のようにVIX指数を売買できない年もある)
10.結論
日経平均のリスクヘッジとして、以下の商品を検討しました。
現金→×(不向き)
日経平均が下落しても価値は変わらないが、下落分を埋められるような上昇をするわけではない。
金→×(不向き)
日経平均が下落すると、金も一緒に下落する傾向が見られる。
オプション・先物→×(不向き)
保有期限があり、保有するのに手数料がかかるので、保有し続けると、それだけ手数料を取られる。(長期保有に不向き)
日経平均インバース型ETF→×(不向き)
日経平均と真逆の動きをするため、日経平均が下落すると上昇するものの、日経平均が上昇し続けると価値が下がり続け、損失が発生する恐れがある。
VIX指数CFD→〇(向いている)
日経平均が上昇し続けてもあまりレートが動かず、日経平均の暴落時にのみ急上昇するため、日経平均のリスクヘッジとして活用できる。
日経平均のリスクヘッジとしてVIX指数を用いると、2011年以外の年でプラス運用となりました。
VIX指数のトレードは、日経平均のリスクヘッジに利用可能であると分かりました。
VIX指数を取り引き可能なCFD業者
VIX指数はCFD取り引きでしか売買できません。
オススメのVIX指数取り扱いCFD業者は、GMOクリック証券CFDです。
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