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更新日:2020年4月29日 著者:VIXパンダ
原油ブル2倍ETFに投資したら利益を出せる?
GMOクリック証券CFDでは、原油関連商品に「原油ブル2倍ETF」というものがあります。
この記事は、私の経験をもとに
「原油ブル2倍ETFに投資したら利益を出せるか知りたい」
方に書いています。
1.原油ブル2倍ETFとは?
原油ブル2倍ETF(米国ティッカーコードUCO)のファンド情報には
「プロシェアーズ・ウルトラ・DJ-UBS原油ETF(←原油ブル2倍ETFの名称)は、ダウ・ジョーンズ-AIG原油サブインデックスの日次運用実績の2倍(200%)に連動する日次の投資成果を目指す。」
とあります。
つまり
- 原油価格に連動する
- 「ブル」とあるので、投資対象(原油)が上昇しているときに利益が出る
- 1日あたり、原油価格の2倍動くことを目標とする
という特徴があります。
ただし、組み入れ銘柄は下のようになっており、単純に原油価格に連動するわけではないようです。
原油ブル2倍ETF 組み入れ上位銘柄
- CITIBANK NA/BLOOMBERG WTI CRUDE OIL SUBINDEX SWAPS:57.49 %
- GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL/BLOOMBERG WTI CRUDE OIL:39.74 %
- ROYAL BANK OF CANADA/BLOOMBERG WTI CRUDE OIL SUBINDEX SWAPS:35.19 %
- UBS AG/BLOOMBERG WTI CRUDE OIL SUB INDEX SWAP:35.1 %
- SOCIETE GENERALE SA/BLOOMBERG WTI CRUDE OIL SUBINDEX SWAPS:16.59 %
WTI:ウエスト・テキサス・インターミディエートの略で、西テキサス地方で産出される硫黄分が少なくガソリンを多く取り出せる高品質な原油のことを指します
SWAP:「交換する」という意味で、「半年後に原油を〇リットルあたり〇円で売る(又は買う)」というように、将来のある時期における商品の売買を約束する取引(先物取引)です
上位銘柄からわかるように、組み入れ銘柄は「WTI原油先物」です。
2.原油ブル2倍ETFの値動きから見た特徴
原油ブル2倍ETFのチャートは下のようになります。
原油ブル2倍ETFは、2012年1月は12000ドル前後でしたが、どんどん下落していき、今は10ドル台と1000分の1にまで落ち込んでいます。
チャートではわかりづらいので、数値でも紹介します。
1年間の推移 | 増減割合 | |
2012年 | 10847→7330 | -32.4% |
2013年 | 7612→8055 | +5.8% |
2014年 | 7785→2592 | -66.7% |
2015年 | 2490→627 | -74.8% |
2016年 | 655→584 | -10.8% |
2017年 | 610→584 | -4.3% |
2018年 | 590→331 | -43.9% |
2019年 | 313→510 | +62.9% |
平均すると、-20.5%です。
原油価格と連動しますので、原油価格との相関についても調べました。
原油ブル2倍ETFの推移 (増減割合) |
原油価格の推移 (増減割合) |
|
2012年 | 10847→7330 (-32.4%) |
99.72→91.66 (-8.1%) |
2013年 | 7612→8055 (+5.8%) |
91.67→98.62 (+7.6%) |
2014年 | 7785→2592 (-66.7%) |
98.47→53.76 (-45.4%) |
2015年 | 2490→627 (-74.8%) |
53.75→37.10 (-31.0%) |
2016年 | 655→584 (-10.8%) |
37.58→53.87 (+43.3%) |
2017年 | 610→584 (-4.3%) |
54.09→60.01 (+11.1%) |
2018年 | 590→331 (-43.9%) |
60.19→45.81 (-23.9%) |
2019年 | 313→510 (+62.9%) |
45.78→61.19 (+33.7%) |
原油価格と連動するだけあって、基本的に原油価格が下がった年に原油ブル2倍ETFは下落、原油価格が上がった年に原油ブル2倍ETFは上昇しています。
ただし、原油ブル2倍ETFの値動きを年間で見ると、原油価格の2倍上がったり下がったりするわけではなさそうです。
原油ブル2倍ETFは原油価格より大きく下落する
原油価格が下落した年は、2012年・2014年・2015年・2018年です。
それらの年の原油価格下落率は、2012年-8.1%、2014年-45.4%、2015年-31.0%、2018年-23.9%です。
一方、原油ブル2倍ETFは、2012年-32.4%、2014年-66.7%、2015年-74.8%、2018年-43.9%です。
どの年も、原油価格よりも大きな下落率です。
また、原油価格が上昇した年は、2013年・2016年・2017年・2019年の4回です。
それらの年の原油価格上昇率は、2013年+7.6%、2016年+43.3%、2017年+11.1%、2019年+33.7%です。
一方、原油ブル2倍ETFは、2013年+5.8%、2016年-10.8%、2017年-4.3%、2019年-62.9%です。
2019年以外は、原油価格の上昇率ほど上がりません。
これらのことから、原油ブル2倍ETFの値動きの特徴は、下落しやすい投資商品であるといえます。
3.原油ブル2倍ETFへの投資ができる証券会社は?
ETFなので、どの証券会社でも取り扱いがあると思いきや、残念ながら、日本取引所(東京証券取引所・大阪取引所)では取り扱っていません。
そのため、原油ブル2倍ETFへの投資ができるのは、CFD業者に限られます。
その中でも、GMOクリック証券CFDのみ取扱いがあります。
また、取引時間はサマータイムで22:30~翌5:00と、米国市場取引時間にしか取引できません。
(標準時間では23:30~翌6:00)
詳しくはこちらです→GMOクリック証券CFDの公式サイト
4.原油ブル2倍ETFへのベストな投資法
売り(ショート)での長期保有がベスト
原油ブル2倍ETFの値動きの特徴から、売り(ショート)で長期保有する方法が一番利益を出しやすいと思われます。
ただし、GMOクリック証券CFDで長期保有すると、金利調整額が発生します。
そのため、長期保有損益=レート損益+金利調整額です。
そこで、GMOクリック証券CFDにおける、原油ブル2倍ETFの金利調整額を調べました。
1日につく金利調整額は、上表のように最小取引単位では1円未満です。
GMOクリック証券CFDに問い合わせたところ、1円未満の金利調整額は、切り捨てされるとのことでしたので、最小取引単位でトレードしたら実質0円です。
その点も考慮して、「レート×1」(最小取引単位)を売り(ショート)で保有した際の、原油ブル2倍ETFの投資損益を検証しました。
レート損益 | 金利調整額 | 合計損益 | |
2012年 | +3517ドル | 0円 | +3517ドル |
2013年 | -443ドル | 0円 | -443ドル |
2014年 | +5193ドル | 0円 | +5193ドル |
2015年 | +1863ドル | 0円 | +1863ドル |
2016年 | +71ドル | 0円 | +71ドル |
2017年 | +26ドル | 0円 | +26ドル |
2018年 | +259ドル | 0円 | +259ドル |
2019年 | -197ドル | 0円 | -197ドル |
この損益がすごいかどうかは、原油ブル2倍ETFに対する証拠金の額で決まります。
ちなみに、合計損益は+10289ドルです
証拠金はいくらにする?
原油ブル2倍ETFを売り(ショート)で保有するため、どのくらいの損失に耐えられるかは、原油ブル2倍ETFが過去どのくらいの高値を付けたか確認しなければいけません。
データがある2012年~現在で、原油ブル2倍ETFの最高値は、2012年3月の12465ドルです。
ただ、2020年4月時点で11ドル台まで下がっているため、12465ドルを証拠金の参考にするのは現実的ではありません。
そこで、過去の最高上昇率を参考にします。
2012年以降の、原油ブル2倍ETFの過去最高上昇率は2017年6月の308ドル→2018年10月の982ドルまで上昇したケースです。
このケースでは、原油ブル2倍ETFは3.19倍上昇しました。
用意する証拠金は、安全性を考慮して購入額の5倍としました。
この場合、原油ブル2倍ETFが購入額の5倍近くまで上昇してもロスカットされません。
購入額の5倍を証拠金として、原油ブル2倍ETFに投資した際のリターンを計算しました。
証拠金 | 損益 | 年間リターン | |
2012年 | 54235ドル | +3517ドル | +6.5% |
2013年 | 38060ドル | -443ドル | -1.2% |
2014年 | 38925ドル | +5193ドル | +13.3% |
2015年 | 12450ドル | +1863ドル | +15.0% |
2016年 | 3275ドル | +71ドル | +2.2% |
2017年 | 3050ドル | +26ドル | +0.9% |
2018年 | 2950ドル | +259ドル | +8.8% |
2019年 | 1565ドル | -197ドル | -12.6% |
過去8年の平均年間リターンは+4.1%で、合計損益は+10289ドルでした。
5.原油ブル2倍ETFへの投資 メリット・デメリット
原油ブル2倍ETFへの投資を検証しましたが、以下のようなメリット・デメリットがあることが分かりました。
デメリット
- 原油ブル2倍ETFは経時的に小さくなるため、証拠金の算出が難しい
- 取引時間が日本時間で23:30~06:00のため、日中投資できない
メリット
- 売りで保有するだけなので、投資テクニックはいらない
- 最大マイナスが-12.2%と、それほどリスクは高くない
結論 原油ブル2倍ETFよりは原油ベア2倍ETFがおすすめ
原油ベア2倍ETF(売り)のほうが、原油ブル2倍ETF(売り)よりも平均リターンが高く、最大マイナスも低いです。
→原油ベア2倍ETFに投資したら利益を出せる?
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