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更新日:2019年12月19日 著者:VIXパンダ
米国VIベアETFに投資したら利益を出せる?
GMOクリック証券CFDでは、VIX指数関連商品に「米国VIベアETF」というものがあります。
この記事は、私の経験をもとに
「米国VIベアETFに投資したら利益を出せるか知りたい」
方に書いています。
1.米国VIベアETFとは?
米国VIベアETF(米国コードSVXY)のファンド情報には
「プロシェアーズ・ショートVIX短期先物ETF( ProShares Short VIX Short-Term Futures ETF)は、S&P500VIX短期先物インデックスに対して日々の運用実績の-0.5倍の値動きの投資成果を目指す。」
とあります。
つまり
- VIX指数に逆連動する
- 「ベア」とあるので、投資対象(VIX指数)が下落しているときに利益が出る
- VIX指数の0.5倍動くことを目標とする
という特徴があります。
ただし、組み入れ銘柄は下のようになっており、単純にVIX指数に連動するわけではないようです。
米国VIベアETF 組み入れ上位銘柄
- OTHER ASSETS LESS LIABILITIES: 199.87%
- VIX FUT JUN8:-43.23 %
- VIX FUT JUL8:-56.64 %
ここで「OTHER ASSETS LESS LIABILITIES」が気になったので調べてみましたが、流動資産と流動負債の差額と訳されていました。
2.米国VIベアETFの値動きから見た特徴
米国VIベアETFのチャートは下のようになります。

2018年1月に512.84ドルだった米国VIベアETFは、2月末に48.40ドルまで下がりました。
急激に下がっていますね。
あまりに下がりすぎていて、チャートではわかりづらいので、数値でも紹介します。
1年間の推移 | 増減割合 | |
2015年 | 121.24→92.96 | -23.3% |
2016年 | 92.96→181.96 | +95.7% |
2017年 | 181.96→512.84 | +181.8% |
2018年 | 512.84→42.25 | -91.8% |
2019年 | 42.25→65.13 | +54.2% |
特に目を引くのが、2018年の下落率91.8%です。
VIX指数と逆連動しますので、VIX指数との相関についても調べました。
米国VIベアETFの推移 (増減割合) |
VIX指数の推移 年初→年末 (増減割合) |
年間平均 VIX指数 |
|
2015年 | 121.24→92.96 (-23.3%) |
17.55→18.21 (+3.8%) |
16.70 |
2016年 | 92.96→181.96 (+95.7%) |
27.01→14.04 (-48.0%) |
16.42 |
2017年 | 181.96→512.84 (+181.8%) |
11.32→11.04 (-2.5%) |
11.13 低い |
2018年 | 512.84→42.25 (-91.8%) |
9.22→21.38 (+131.9%) |
16.58 |
2019年 | 42.25→65.13 (+54.2%) |
18.19→12.58 (-30.8%) |
15.65 |
2018年はVIX指数が倍以上に上がっていました。そのため、米国VIベアETFも下がっていますが、下落率90%超と恐ろしく下がっています。
一方、年末のVIX指数が15未満の年は、米国VIベアETFが上がっています。(2016年・2017年・2019年が該当)
逆に、年末のVIX指数が15を超えてくると、米国VIベアETFが下がる傾向にあります。(2015年・2018年が該当)
また、2017年のように年間を通してVIX指数が低いと、米国VIベアETFは大きく上がります。
米国VIベアETFは2018年1月~2月でなぜこんなに下がった?
2015年8月も米国VIベアETFが下落していましたので、2018年1月~2月と比較しました。
レート推移 | 下落率 | 最大VIX指数 | |
2018年1月~2月 | 512.84→48.40 | 91% | 50.80 |
2015年8月 | 188.64→100.12 | 47% | 53.29 |
米国VIベアETFは、VIX指数に逆連動するので、VIX指数が上がるほど、下がっていきます。
それなのに、最大VIX指数はむしろ2015年8月のほうが大きいくらいです。
そこで、2018年1月~2月米国VIベアETFはなぜこんなに下がったのか、取り扱っているGMOクリック証券に、直接電話で聞いてみました。
回答は「VIX指数の急変によるものです」とのことでした。
さらに、食い下がって2015年8月の下落率がなぜ低いのか聞いてみましたが、そちらは「わかりかねます」ということでした。
なお、この急変動を考慮してか、2018年3月15日から原資産が変更になったとのことでした。
変更点は
「S&P500VIX短期先物インデックスに対して-1.0倍の値動きの投資成果を目指す」
→ 「S&P500VIX短期先物インデックスに対して-0.5倍の値動きの投資成果を目指す」
です。
つまり、2018年3月15日から、米国VIベアETFの値動きが若干マイルドになっています。
3.米国VIベアETFへの投資ができる証券会社は?
ETFなので、どの証券会社でも取り扱いがあると思いきや、残念ながら、日本取引所(東京証券取引所・大阪取引所)では取り扱っていません。
そのため、米国VIベアETFへの投資ができるのは、CFD業者に限られます。
その中でも、GMOクリック証券CFDのみ取扱いがあります。
また、取引時間は23:30~翌6:00と、米国市場取引時間にしか取引できません。
詳しくはこちらです→GMOクリック証券CFDの公式サイト
4.米国VIベアETFへのベストな投資法
買い(ロング)での長期保有がベスト
値動きから、買い(ロング)で長期保有する方法が一番利益を出しやすいと思われます。
ただし、GMOクリック証券CFDで長期保有すると、金利調整額が発生します。
そのため、長期保有損益=レート損益+金利調整額です。
ただし、1日につく金利調整額は、下のように最小取引単位では1円未満です。

GMOクリック証券CFDに問い合わせたところ、1円未満の金利調整額は、切り捨てされるとのことでしたので、最小取引単位では実質0円です。
その点も考慮して、「レート×1」(最小取引単位)を保有した際の、米国VIベアETFの長期投資(買い)損益を検証しました。
レート損益 | 金利調整額 | 合計損益 | |
2015年 | -28.28ドル | 0円 | -28.28ドル |
2016年 | +89.00ドル | 0円 | +89.00ドル |
2017年 | +330.88ドル | 0円 | +330.88ドル |
2018年 | -470.59ドル | 0円 | -470.59ドル |
2019年 | -22.88ドル | 0円 | -22.88ドル |
この損益がすごいかどうかは、米国VIベアETFに対する証拠金の額で決まります。
証拠金はいくらにする?
米国VIベアETFを買い(ロング)で保有するため、どのくらいの損失に耐えられるかは、米国VIベアETFが過去どのくらい下落したか確認しなければいけません。
データがある2015年以降で、米国VIベアETFが大きく下落した時期は2018年1月~2月です。
レート推移 | 下落率 | |
2018年1月~2月 | 512.84→48.40 | 90%以上 |
この最大下落率に耐えるには、米国VIベアETFに対する証拠金は、指数と同額にした方が良いでしょう。
そこで、指数と同額の証拠金で投資した際のリターンを計算しました。
証拠金 | 損益 | リターン | |
2015年 | 121.24ドル | -28.28ドル | -23.3% |
2016年 | 92.96ドル | +89.00ドル | +95.7% |
2017年 | 181.96ドル | +330.88ドル | +181.8% |
2018年 | 512.84ドル | -470.59ドル | -91.8% |
2019年 | 42.25ドル | +22.88ドル | +54.2% |
過去5年の平均リターンは、+43.3%です。ただし、2018年の損失が大きすぎたため、合計損益は-56.11ドルでした。
5.米国VIベアETFへの投資 メリット・デメリット
米国VIベアETFへの投資を検証しましたが、以下のようなメリット・デメリットがあることが分かりました。
デメリット
- 2018年のように、大きく下がることがある
- 取引時間が日本時間で23:30~06:00のため、日中投資できない
メリット
- 平均リターンが+43.3%と非常に高い
- 金利調整額がほぼつかない
米国VIベアETFはこんな人におすすめ
この投資法は、VIX指数(米国VI)をショートで長期保有する投資法と似ています。
→VIX指数(売り)を長期保有して安定収入を得る投資法
ただし、過去には2018年1月~2月にかけて90%以上も大きく下がったことがあります。
2018年3月15日から、「VIX指数の-1倍の値動きを参考」→「VIX指数の-0.5倍の値動きを参考」と、値動きがマイルドになったとはいえ、どのくらいマイルドになったかは実際にVIX指数が高くなってみないとわかりません。
その点で、過去の値動きを参考にできるVIX指数(売り)の長期保有よりは、リスクが高いといえそうです。
これらから、「今後しばらくはVIX指数が急激に高くなるようなイベントが起きないだろう」という方にはおすすめです。
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